このページでは、日本の英語教育についての問題点をまとめています。
現状と課題、海外との比較なども詳しく解説しています。
日本の英語教育についての問題点
日本の英語教育についての問題点として、よく挙げられるものは「3つ」です。
- 受験を目的とした英語教育
- 和訳中心の英語学習
- 音声のインプットとアウトプットが少ない
1つずつ見ていきましょう!
1.受験を目的とした英語教育
学校で英語教育をする大きな目的として「受験」があります。
英語が受験科目になっているため、どうしても試験のための英語教育になってしまっています。
そのため、使える英語(コミュニケーション)に重点を置いた教育ではなく、読み書きを中心とした内容に偏りがちです。
「言葉」としての英語ではなく「教科」としての英語を教えているってことですね。
2.和訳中心の英語学習
日本での英語教育は「受験」をメインの目的としていることもあり、コミュニケーションのための英語学習ではなく「試験」のための英語学習になります。
つまり、英語の文章を読んで「日本語に訳す」という作業が多く行われます。
和訳ばかりしていても英語は話せるようにはなりません・・・
3.音声のインプットとアウトプットが少ない
英語は言語ですから、音声をたくさんインプットして音に慣れ、さらにたくさん発話練習をしてアウトプットする必要があります。
ですが、日本の教育現場では、音声はあまり重要視されていない傾向にあります。
以前よりは音声を使う授業も増えましたが、「言語」の授業としてはまだまだ少ないです。
現状と課題
上記の問題点を踏まえて、日本の英語教育の現状と課題をみていきましょう。
現状としては、
- 6年間勉強しても英語ができない
- 英語レベルは目標以下
- 英語を教える教師の英語不足
- 英語を話す機会がない
があります。
6年間勉強しても英語ができない
日本では中学校・高校と英語を勉強する人が多いと思います。
また、大学に進学してさらに4年間勉強する人も少なくないでしょう。
2020年からは小学校5年生から英語が教科化されたので、もっと長い期間英語学習をする人が増えてくるはずです。
これだけ長い時間英語を学んでいるにもかかわらず、実際に英語を使える、話せる、という人は少ないという現状があります。
英語レベルは目標以下
文部科学省が掲げている目標に「中学で英検3級、高校で英検準2級」の英語力をつけるというものがあります。
ですが、実際は目標には届いていない現状があります。
文科省発表の「英語教育実施現状調査」によると、中学生で英検3級の英語力がある割合は44%、高校生で英検準2級の英語力がある割合は43.6%に留まっています。
これは、政府が目標とする「50%」には満たないという結果です。
参照⇒公立小学校・中学校及び高等学校における英語教育実施状況調査【文部科学省】
なんとかしてレベル上げしてほしいですね・・・
英語を教える教師の英語不足
次の現状として、英語を教える教師の英語不足があります。
文科省では、英語教師に「準1級レベル」を求めていますが、実際にそのレベルに達している教師はまだまだ多いとは言えません。
文科省のデータによると、中学校の教員は38.1%、高校の教員は72%の割合が基準に達しているとなっています。
英語力のある先生をしっかり確保してほしいですよね。
英語を話す機会がない
最後の現状としては、授業で「英語を実際に話す機会がほとんどない」と言えます。
どうしても「読み・書き」が中心になるため、会話の練習にほとんど時間が取れないという状況です。
これでは、英語でのコミュニケーション力がアップしないのは仕方がないですよね。
「試験対策」が優先されているのが問題だね。
ここまでが日本の英語教育の「現状」でした。
現状を踏まえると、考えられる大きな「課題」は2つあります。
- 音声学習とアウトプット練習が必要
- 英語を教えられる人材を増やすべき
課題1.音声学習とアウトプット練習が必要
前述の現状の通り、日本の英語教育現場では「読み・書き」など受験対策が優先されているため、言語学習に不可欠な音声学習が圧倒的に少ない状況です。
そのため、音声学習をきっちりと行い、正しい発音を聞き取りできる練習が必要です。
さらに、コミュニケーションに欠かせないアウトプット練習も増やす必要があります。
使える英語を身につけるために、音声学習とアウトプット練習は積極的に取り入れるべきですね!
課題2.英語を教えられる人材を増やすべき
現在、しっかりとした英語力を持った英語教師が不足していると言われています。
前述のデータの通り、政府が定める「英語レベル」に達している教師の割合は決して多いとは言えませんでした。
そのため、もっと英語力を持っている教師を確保する必要があります。
海外との比較
ここからは、海外の英語教育と比較してみたいと思います。
まず、海外の英語教育事情からです。
- タイ
1996年から小学校の英語が必修化。小学校1年から開始。語彙習得がメイン。 - 韓国
1997年から小学校の英語教育が必修化。小学校3年生から英語を学んでいる。 - 中国
2001年から必修化。地域によっても異なるが、小学校3年生から開始。 - ドイツ
2003年から必修化。州によっても異なるが、小学校1年生から開始。
海外と日本の英語教育の「違い」ですが、小学校での英語教育の開始時期が日本より圧倒的に早いです。
日本では2020年からやっと小学校3・4年生で必修化、5・6年生で教科化になりました。
タイや韓国と比べると「20年以上」も遅れをとってるんだね!
さらに、日本では「日本語で英語を教えている」「授業数が少ない」という違いがあります。
また、アジア28カ国の中で英語力はほぼ最下位という結果もあり、これにより日本が英語教育で遅れ気味だというのが分かりますね。
小学校における英語教育の課題
最後に、小学校における英語教育の課題を見てみましょう。
小学校における英語教育の現状と課題(文科省)のページを見てみると、大きな課題としては「教育の機会均等の確保」が挙げられています。
地域によって英語教育の「ばらつきがある」ということですね。
たとえば、ALTの活用人数など地域によって差がまだまだあるようです。
また「小中連携」も地域によって均一でないことも課題となっています。
小学校・中学校での連携が100%近く整っている地域もあれば、50%以下の地域もあります。
学力の格差につながらないかと懸念されます。
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